休職者対応を人事が抱えきれないとき|外部に任せる判断基準

人事担当者と外部担当者が休職者対応を整理するイメージ
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休職者との連絡、面談の日程調整、書類の督促、復職に向けた職場との調整。一つひとつは小さな作業でも、重なると、人事や総務の通常業務を押し出していきます。

「外部に任せたほうがいいのだろうか。でも、どこまで任せてよいのか分からない」。この記事では、自社に必要な支援を選ぶための判断材料として、任せるかどうかを考える視点と、任せる前に決めておくことを整理します。外部の選択肢には、それぞれ向いている場面があります。

個々の労務判断は、社労士・産業医などの専門家にもご相談ください。

外部に任せるかを考える6つの視点

項目の数で判断するのではなく、一つひとつについて、負担の大きさ、対応が滞ったときの影響、必要な専門性から検討します。一つの項目だけでも、負担が大きければ、相談する価値があります。これは合否を決める基準ではなく、自社の状況を整理するための一般的な目安です。

  • □ 時間:面談・連絡・調整に取られる時間が、人事の通常業務を圧迫している
  • □ 件数:同時に対応する休職者・復職者が増え、一人の担当者では回らない
  • □ 属人化:対応できる担当者が一人に限られ、不在や異動で止まるおそれがある
  • □ 専門的な視点:復職後の業務調整や、職場の受け入れ準備に、専門的な視点がほしい
  • □ 産業医の関与:医学的な相談・評価の体制が十分でない(産業医がいない、関われる時間が限られているなど)。この場合は、実務の委託とは別に、医学的な相談先の確保も検討する
  • □ やり取りの負担:人事が本人と直接やり取りすることが、本人にも担当者にも負担になっている

どの段階で何を選ぶかは、負担の大きさと影響によって変わります。社内の手順の見直しや公的な窓口の活用で足りることもあれば、外部に任せる範囲を具体的に考える段階のこともあります。迷う段階でも、状況を整理するために相談できます。

外部に任せられるもの、会社に残るもの

任せられる作業と、会社に残る判断・管理を分けて考えます。

区分内容
外部に任せられる実作業休職者との連絡、面談、書類の督促、休職期間の管理、復職に向けた準備、職場調整の支援など
医学の専門職の領域病状の医学的な判断、就業上の配慮についての医学的な意見(主治医・産業医)
会社側に残る判断・管理手続きの管理、記録と情報の管理、就業上の配慮と処遇の整理、復職の最終決定(事業者)、委託先の管理

厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」でも、復職の可否は、医学的な意見を踏まえて事業者が最終的に決定するとされています。実作業を委託しても、会社側の判断と管理の責任がなくなるわけではありません。委託先や専門職は、それぞれの役割に応じた責任を負います。

産業医がいない場合の医学的な相談・評価の体制は、連絡・面談の代行だけで解消する問題ではありません。医学的な相談先(産業医、地域産業保健センターなど)の確保と、実務を委託する範囲は、分けて検討します。

外部の選択肢と、向いている場面

外部の選択肢には、公的なものと民間のものがあります。内容は事業者や機関によって異なるため、ここでは大まかな違いを示します。これらは互いに排他的な5つの分類ではありません。支援内容は重なることがあり、併用する場合もあります。名称だけで、対応範囲を決めつけないでください。

選択肢主な内容向いている場面確認したい点
公的な窓口(産業保健総合支援センター、地域産業保健センターなど)企業向けの相談、訪問支援、50人未満の事業場向けの医師の面接指導など。無料で利用できるものがあるまず相談先がほしい、産業医がいない小規模な事業場個別の休職者への継続的な連絡や面談まで担うかどうか
産業医・産業保健スタッフ医学的な意見、主治医との情報交換、就業上の配慮の助言医学的な評価や意見が必要な場面関われる時間と頻度
従業員向けの相談サービス(EAPなど)電話相談やカウンセリングなどの相談窓口を含む従業員支援。具体的な範囲は、契約により異なる従業員がすぐに相談できる窓口がほしい休職者への連絡や復職に向けた調整まで含むかどうか
復職支援プログラム・リワーク復職に向けた準備や訓練のプログラム。公的なものに、障害者職業センターのリワーク支援がある。たとえば東京障害者職業センターでは、本人の準備支援に加え、本人・企業担当者・主治医の三者で調整する。実施主体によっては、企業・主治医との調整を含む本人が復職に向けた準備を進める段階実施主体、対象、期間、費用、会社側の関わり方
連絡・面談の窓口を引き受けるサービス休職者との連絡、面談、書類の督促、職場との調整など実作業が重なり、人事が回らなくなっている任せる範囲、報告の頻度、情報の扱い

手引きも、民間のサービスは内容や目標が多様なため、自社に必要な要件を満たすかどうかを事前に検討するよう述べています。名称が同じでも、担う範囲は実施主体や契約によって異なります。

外部に任せる前に、社内で決めておくこと

任せる前に、次の点を社内で決めておくと、委託後の食い違いを減らせます。

  • □ 目的:何を軽くしたいのか(時間、属人化、専門性の不足など)
  • □ 範囲:連絡、面談、書類、職場調整のうち、どれを任せるか
  • □ 判断者:復職の可否や、就業上の配慮の最終的な判断を、誰が行うか
  • □ 情報の扱い:誰に、何の目的で、どの範囲の情報を共有するか。本人への説明と同意の取り方
  • □ 報告:どのくらいの頻度で、どの形式で報告を受けるか
  • □ 緊急時:本人の状態に急な変化があった場合の連絡の流れ
  • □ 契約の確認:費用、期間、守秘の扱い、委託先のプライバシー保護の措置

手引きは、本人の健康情報を必要最小限にとどめ、情報を外部の機関に任せる場合も、その機関にプライバシー保護の措置を求めるとしています。本人への説明と同意を前提に進めてください。同意書の書式や契約の内容は、専門家と相談しながら整えることをおすすめします。

外部に任せることが向いている場合・向かない場合

向いているのは、たとえば次のような場合です。

  • 連絡・面談・調整の実作業が重なり、人事の通常業務を圧迫している
  • 医学的な相談・評価の体制が十分でなく、実務の面でも手が回らない(医学的な相談先の確保は、実務の委託とは別に検討する)
  • 担当者が一人で、対応が属人化している

ほかの方法を先に、または並行して検討したほうがよいのは、たとえば次のような場合です。

  • 対応件数が少なく、社内の手順の整理で足りる
  • 本人の状態に急な変化がある(通常の委託先選びとは別に、医療機関・産業医・公的な窓口などとの連携を最優先で進める)
  • 委託したい範囲や、会社側で判断する範囲がまだ整理できていない(整理の段階から相談できるサービスもある)

状態の急変への対応は、通常の委託先選びとは別に進めます。委託範囲が未整理の場合は、社内で先に整理する方法もあれば、整理の段階から外部に相談する方法もあります。役割分担の考え方は、別の記事「メンタル不調の社員への対応」で整理しています。

連絡や面談の窓口を外部に置く選択肢:メンまる

オキュラボの「メンまる」(ウェルビーイング推進室/メンタル不調者まるっと引受け)は、休職者との連絡や面談の窓口を、外部が担うサービスです。

公開ページによると、メンまるが担う主な業務は次のとおりです。

  • 事務連絡、定期面談、社会保険料の請求連絡
  • 診断書など必要書類の提出の督促、休職期間の管理
  • 傷病手当金などの公的支援制度の説明
  • 復職に向けた環境調整と、復職可否の判断材料となる報告書の提出(産業医の判断を支援)
  • 人事への定期報告(原則、隔週)

一方、メンまるの運用では、会社側に残る実務もあります。必要書類の最終的な管理は人事、最初の同意の取得は会社の担当者が行います。また、主治医との情報のやり取りは、本人を介してのみ行っています。復職の可否を決めるのは、手引きの考え方と同じく事業者です。

会社と休職者の間に外部の窓口が入ることで、人事が休職者と直接やり取りする場面を減らせます。実作業が重なって人事が回らなくなっている企業には向いていますが、すでに社内の体制で十分に対応できている企業や、医療的な評価を中心に求めたい場合には、別の選択肢のほうが合うこともあります。

まとめ

  • 外部に任せるかは、時間・件数・属人化・専門的な視点・産業医の関与・やり取りの負担の6つの視点で整理できます。
  • 任せられるのは、連絡・面談・書類の督促・職場調整などの実作業です。復職の最終決定を含む判断と管理の責任は、会社側に残ります。
  • 外部の選択肢は、担う範囲が異なります。目的に合うものを選びます。
  • 任せる前に、目的・範囲・判断者・情報の扱い・報告・緊急時・契約を決めておきます。

よくある質問

Q. 外部に任せると、休職者の情報は誰に共有されますか。

A. 共有の範囲は、本人への説明と同意のうえで、委託する業務に必要な範囲にとどめるのが基本です。委託先にもプライバシー保護の措置を求め、契約で守秘の扱いを確認してください。メンまるの具体的な運用は、サービスページと問い合わせでご確認ください。

Q. 費用や契約期間は、どのように比べればよいですか。

A. 費用や契約は、任せる範囲、報告の頻度、期間によって異なります。比較する際は、見積もりや契約書で次の点を確認してください。初期費用の有無。月額料金か従量料金か(何を単位に課金されるか)。追加費用が生じる場合(一般的な例:対象人数の増加、面談回数の追加、報告書の追加など。これらは比較のための一般的な項目です。メンまるで実際に課金される項目とは限りません)。最低契約期間。解約の条件と手続き。料金に含まれる業務の範囲。メンまるの料金や契約条件は、サービスページまたはお問い合わせでご確認ください。

出典と確認日

  • 厚生労働省・労働者健康安全機構「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(改訂)」パンフレット版。手引き本文は平成16年10月公表、平成21年3月・平成24年7月改訂と記載
    URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf
    確認日:2026-10-08
    使った箇所:復職の最終決定は事業者、民間サービスは内容が多様で事前の検討が必要、プライバシー保護の措置
  • 厚生労働省「労働者数50人未満の小規模事業者の方」
    URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70761.html
    確認日:2026-10-07
    使った箇所:産業保健総合支援センター、地域産業保健センターの支援内容
  • 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「リワーク支援」(東京障害者職業センター)
    URL:https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/tokyo/reworkshien.html
    確認日:2026-10-08
    使った箇所:本人への準備支援と、本人・企業担当者・主治医の三者での調整(ページ内に更新日の記載なし)
  • 厚生労働省 こころの耳「社内相談窓口設置までの流れとポイント」(節:社外相談窓口の設置の有無)
    URL:https://kokoro.mhlw.go.jp/in-house/consultation/cs002/
    確認日:2026-10-08
    使った箇所:EAPなどの相談窓口サービスの会社と契約して電話相談やカウンセリング窓口を設けること、個人情報の取扱いを事前に確認すること(ページ内に更新日の記載なし)
  • オキュラボ「ウェルビーイング推進室(メンタル不調者まるっと引受け)」ページ
    URL:https://www.occulabo.co.jp/wb_menmaru/
    確認日:2026-10-08
    使った箇所:メンまるの担う業務、会社側に残る実務、情報連携の方法

「EAPの範囲は契約により異なる」「公的窓口・産業医・リワーク以外の説明」は一般的な整理であり、上記ページの記載ではありません。

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