企業向け復職支援サービスの選び方|リワーク・相談窓口・個別対応支援の違い

「復職支援」と名のつくサービスは、数多くあります。ところが、名称が同じでも、担う範囲が同じとは限りません。本人の復職準備を支えるもの、従業員の相談を受けるもの、休職者との連絡や調整を会社の代わりに行うもの。目的が違えば、向いている会社も違います。
この記事では、特定のサービスを良し悪しで並べるのではなく、自社に合うものを選ぶための比較の軸と、選ぶ前に確認したい点を整理します。なお、いつ外部に任せるかという判断は、別の記事「休職者対応を人事が抱えきれないとき」で整理しています。
個々の労務判断は、社労士・産業医などの専門家にもご相談ください。
比べるための7つの軸
サービス名ではなく、次の7つの軸で内容を確認すると、違いが見えやすくなります。
| 軸 | 見るポイント | 確認のしかた(例) |
|---|---|---|
| 1. 支援の対象 | 本人への支援か、会社への支援か、両方か | 誰が利用者で、誰が窓口になるか |
| 2. 担う作業 | 本人の復職準備、連絡・面談、職場との調整、医学的な評価のうち、どれを含むか | 業務の範囲を、項目ごとに書面で確認する |
| 3. 実施主体 | 公的機関、医療機関、民間事業者のどれか。担当者の職種 | 担当者の資格や経験を、実際の名称で確認する |
| 4. 会社の関わり | 会社が担う作業と、会社に残る判断 | 会社側の担当者が何をすることになるか |
| 5. 情報の流れと同意 | 誰が、どの情報を、誰に共有するか。本人の同意の取り方 | 主治医との情報のやり取りの方法、守秘の扱い |
| 6. 費用と期間の仕組み | 料金の課金単位、期間、追加費用、解約の条件 | 見積もりと契約書で確認する |
| 7. 報告と責任範囲 | 報告の頻度と形式。緊急時の連絡 | 判断が必要な場面で、誰が何を決めるか |
復職の可否の最終決定は、医学的な意見を踏まえて事業者が行います。どのサービスを使っても、この点は変わりません。実作業を委託しても、会社側の判断と管理の責任がなくなるわけではありません。委託先や専門職は、それぞれの役割に応じた責任を負います。
タイプ別の比較:支援内容は重なります
次の表は、主なタイプの一般的な違いです。互いに排他的な分類ではありません。支援内容は重なることがあり、併用する場合もあります。実際の範囲は、実施主体や契約によって異なります。
| タイプ | 主な対象 | 主に担うこと | 会社の関わり | 向いている状況 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|---|---|
| リワーク(復職準備のプログラム) | 本人(実施主体によっては、企業・主治医との調整も含む) | 実施主体により目的が異なる(医療リワーク=治療、職リハリワーク=職場適応の支援、職場リワーク=復職後に働けるかの見極め)。生活リズムの自己管理、作業を通じた確認、復職に向けた準備など | 実施主体により、三者での調整や進捗の報告がある | 本人が復職に向けた準備を進める段階 | 実施主体、対象、期間、費用、会社側の関わり方 |
| 相談窓口(EAPなど) | 従業員 | 電話相談、カウンセリングなど。具体的な範囲は、契約により異なる | 窓口の周知、契約 | 従業員がすぐに相談できる窓口がほしい | 休職者への連絡や復職の調整まで含むか |
| 個別対応支援(連絡・面談・調整を引き受けるもの) | 会社(休職者への対応を含む) | 休職者との連絡、面談、書類の督促、職場との調整、報告 | 同意取得・書類管理・連絡調整を誰が担うか、契約前に確認する。復職の最終決定は事業者 | 実作業が重なり、人事が回らなくなっている | 任せる範囲、報告の頻度、情報の扱い、契約条件 |
| 【個別対応支援の具体例】メンまる | 会社と従業員(休職者への対応を含む) | 窓口としての連絡・面談・調整、書類の督促、報告に加え、オンラインリワークと復職後の定着支援 | 同意取得は会社の担当者、最終管理は人事。復職の可否は、主治医・産業医等の医学的な意見を踏まえて、事業者が最終的に決定します。 | 窓口から復職準備、定着まで、状態に合わせた伴走を任せたい | 任せる範囲、報告の頻度、情報の扱い、契約条件 |
| 産業医・産業保健スタッフ | 会社・従業員 | 医学的な意見、就業上の配慮の助言(選任・契約している産業医が、それぞれの役割の範囲で) | 相談、情報提供、意見の反映 | 医学的な評価や、まず相談先がほしい場面 | 関われる時間と頻度、主治医との連携の方法 |
| 公的な相談窓口(産業保健総合支援センター、地域産業保健センター、こころの耳など) | 企業・50人未満の事業場・企業担当者と本人 | 企業向けの相談・訪問支援、50人未満の事業場向けの医師の面接指導等。窓口ごとに異なる | 相談、訪問支援や面接指導の利用(窓口ごとに条件が異なる) | 社内に専門職が少なく、まず企業向けの相談先がほしい場面 | 個別の休職者への医学的評価や継続的な連絡まで担うか(窓口により異なる) |
リワークの中にも、違いがあります
「リワーク」と一口に言っても、目的は実施主体によって異なります。日本うつ病リワーク協会は、実施主体を、医療機関で行う医療リワーク、地域障害者職業センターが行う職リハリワーク、企業内で行う職場リワークに分けて説明しています。
- 医療リワーク:医療機関が診療報酬の枠組みで行う治療で、病状の回復と安定、再休職の予防を目指します(日本うつ病リワーク協会の説明)。
- 職リハリワーク(地域障害者職業センター):病状の治療ではなく、職場適応への支援が目的です。本人・事業主・主治医の合意形成を支えながら、職業リハビリを行います。事業主には、受け入れの準備や復帰時の職務設定などについて助言があります(日本うつ病リワーク協会、JEEDの各センターの説明)。
- 職場リワーク(企業内):社内の復職支援制度、試し出勤、職場復帰訓練などです。復職後に安定して働けるかを見極めることが目的とされています(日本うつ病リワーク協会の説明)。
- 対象・期間・費用は、実施主体やセンターによって異なります。利用を考える先の案内で確認してください(たとえば地域障害者職業センターは、雇用保険適用事業所の在職者が対象で、公務員は対象外と記載されています)。
民間事業者が行う復職支援は、一括りにせず、制度上の位置づけ(医療として行うのか、民間の独自サービスか)と、実際の支援内容(本人の準備支援か、会社との調整を含むか)を、個別に確認してください。厚生労働省の手引きも、民間のサービスは内容や目標が多様なため、自社に必要な要件を満たすかどうかを事前に検討するよう述べています。
状況別の考え方
どれか一つに決める必要はありません。状況に応じて、組み合わせて考えます。
- 本人の復職準備を進める段階:リワークが選択肢になります。会社側の関わり方(三者の調整、報告)を確認します。
- 従業員がまず相談できる窓口がほしい:相談窓口(EAPなど)や、こころの耳の相談窓口があります。休職者への連絡や復職の調整まで含むかは、契約で確認します。
- 連絡・面談・調整が人事に集中している:個別対応支援が選択肢になります。任せる範囲と、会社に残る判断を決めておきます。
- 医学的な評価や助言が必要:産業医、主治医、産業保健総合支援センターや地域産業保健センターなどの活用を検討します(窓口ごとに、対象と支援範囲は異なります)。実務を委託するサービスとは別に、医学的な相談先を確保します。
- 状態に急な変化がある:サービス選びとは別に、医療機関や産業医、公的な窓口との連携を最優先で進めます。
併用の例としては、本人がリワークに通う間、会社との連絡や調整は個別対応支援が担い、医学的な意見は産業医が述べる、という形があります。併用する場合は、情報の共有範囲と、誰が何を判断するかを、あらかじめ決めておきます。
選ぶ前に、サービス側へ確認したいこと
- 担う業務は、どの項目までか(連絡、面談、書類、職場調整、報告)
- 担当者の職種と資格は何か。資格や呼称の意味は、どう説明されているか
- 主治医とは、誰が、どの方法でやり取りするか。本人の同意は、どう取るか
- 報告は、頻度・形式・内容がどうなっているか
- 緊急時(状態に急な変化があった場合)の連絡の流れは、どうなっているか
- 料金の課金単位、追加費用、最低契約期間、解約の条件は何か
- 会社側に残る作業は何か
手引きは、本人の健康情報を必要最小限にとどめ、外部の機関に任せる場合も、その機関にプライバシー保護の措置を求めるとしています。本人への説明と同意を前提に進めてください。
個別対応支援の一つ:メンまる
オキュラボの「メンまる」(ウェルビーイング推進室/メンタル不調者まるっと引受け)は、休職者との連絡や面談の窓口を、外部の職能療法士(作業療法士)が担うサービスです。メンまるでは、職能療法士(作業療法士)が、仕事と生活を両立できるよう、生活構築を支援します。
メンまるが担う主な業務は次のとおりです。
- 事務連絡、定期面談、社会保険料の請求連絡
- 診断書など必要書類の提出の督促、休職期間の管理
- 傷病手当金などの公的支援制度の説明
- 復職に向けた環境調整と、復職可否の判断材料となる報告書の提出(産業医の判断を支援)
- 人事への定期報告(原則、隔週)
一方、メンまるの運用では、会社側に残る実務もあります。必要書類については、作成の提案はメンまるも行いますが、最終的な管理は人事が行います。最初の同意の取得は会社の担当者が行います。また、メンまるでは、主治医との情報のやり取りを本人を介してのみ行っています。復職の可否を決めるのは、手引きの考え方と同じく事業者です。
比較の軸で整理すると、メンまるは、上の表の「個別対応支援」の具体例の一つで、窓口としての連絡・面談・調整、書類の督促、報告に加え、オンラインリワークと復職後の定着支援を組み合わせ、状態に合わせて伴走します。ここでいう一気通貫とは、休職中の連絡・面談・調整から復職後の定着支援までを、続けて支援することを指します。実作業が重なって人事が回らなくなっている企業が、検討の対象になります。復職の可否は、主治医・産業医等の医学的な意見を踏まえて、事業者が最終的に決定します。リワークや定着支援を別々の事業者に分けたい場合は、役割が重ならないよう範囲を確認してください。なお、2023年9月以降、メンまるで支援した方に再休職者はいません(自社集計)。このほか、メンまるでは、アプリを用いた生活構築の伴走とモニタリング、全従業員を対象とした月次モニタリングも行っています。
まとめ
- 復職支援のサービスは、名称ではなく、対象・担う作業・実施主体・会社の関わり・情報の扱い・費用の仕組み・報告と責任範囲の7つの軸で比べます。
- リワーク、相談窓口、個別対応支援、産業医・公的な窓口は、支援内容が重なります。併用することもあります。
- 復職の最終決定は事業者が行います。どの支援を使っても、会社側の判断と管理の責任はなくなりません。
- 選ぶ前に、担う範囲、担当者の資格、情報の扱い、報告、緊急時、契約条件をサービス側に確認します。
よくある質問
Q. 休職中の連絡・面談から、リワーク、復職後の定着支援まで、まとめて任せることはできますか。
メンまるでは可能です。メンまるは、休職中の連絡・面談、オンラインリワーク、復職後の定着支援までを一気通貫で担います。一方、リワークや相談窓口を別々のサービスで組み合わせる場合は、情報の共有範囲、本人の同意、誰が何を判断するかを、事前に決めておきます。
Q. どれを選べばよいか決められないときは、どうすればよいですか。
範囲が整理できていない段階でも、整理から相談できる窓口やサービスがあります。まず、困っている作業(連絡、面談、職場調整、医学的な相談など)を書き出し、どの軸で困っているかを確認します。急な状態の変化がある場合は、サービス選びより先に、医療機関や産業医、公的な窓口との連携を進めてください。
出典と確認日
- 厚生労働省・労働者健康安全機構「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(改訂)」
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf
確認日:2026-10-08/使った箇所:復職の最終決定は事業者、民間サービスは内容が多様で事前の検討が必要、プライバシー保護の措置 - JEED「リワーク支援」(東京障害者職業センター)
URL:https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/tokyo/reworkshien.html
確認日:2026-10-08/使った箇所:本人への支援内容、三者での調整、事業主への助言 - JEED 愛知障害者職業センター「リワーク支援」
URL:https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/aichi/23_aichi_return.html
確認日:2026-10-08/使った箇所:対象、事業主との関わり、三者の合意形成 - JEED 千葉障害者職業センター「リワーク支援」
URL:https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/chiba/12_chiba_rework.html
確認日:2026-10-08/使った箇所:対象、事業主への助言 - 厚生労働省 こころの耳「社内相談窓口設置までの流れとポイント」(節:社外相談窓口の設置の有無)
URL:https://kokoro.mhlw.go.jp/in-house/consultation/cs002/
確認日:2026-10-08/使った箇所:EAPなどの相談窓口サービスの会社と契約して電話相談・カウンセリング窓口を設けること - 日本うつ病リワーク協会「リワークプログラムとは」
URL:https://utsu-rework.org/rework/
確認日:2026-10-08/使った箇所:医療リワーク・職リハリワーク・職場リワークの区別 - オキュラボ「ウェルビーイング推進室(メンタル不調者まるっと引受け)」ページ
URL:https://www.occulabo.co.jp/wb_menmaru/
確認日:2026-10-08/使った箇所:メンまるの担う業務、会社側に残る実務、情報連携の方法
「EAPの範囲は契約により異なる」「個別対応支援」「産業医・公的な窓口の一般的な役割」の説明は、一般的な整理であり、上記ページの記載ではありません。
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休職者との連絡や面談の窓口を外部に置きたい場合は、メンまるの内容をご覧のうえ、お気軽にご相談ください。


