家事を分担しても楽にならないのはなぜ?「量」ではなく「余裕」の差から考える

家事を分担しても楽にならない理由を夫婦の余裕の差から考えるWorkTune家族版コラム

「ちゃんと分担しているはずなのに、なぜかしんどい」「やることは半分ずつなのに、私ばっかり疲れている気がする」。

こうした気持ちは、家事の分担を話し合ったあとにも生まれることがあります。この記事では、分担の「量」だけでは説明できない負担の差を、「余裕」という言葉で整理してみます。どちらかを責めるための記事ではなく、いまのふたりの状況を言葉にするための記事です。

家事を分担しても楽にならないのは、努力不足でも、相手のせいでもない

まず最初にお伝えしたいのは、分担したのに楽にならない状態は、がんばりが足りないから起きるわけではない、ということです。

分担表を作り、ルールを決め、実際に守ってもいる。それでも楽にならないとしたら、「量の分け方」とは別のところに、負担を重く感じさせる理由があるのかもしれません。その候補の一つが、ここで取り上げる「余裕の差」です。

「量の公平」と「余裕の公平」は別のもの

家事分担でふつう考えるのは、「どちらがどれだけやるか」という量の公平です。食器洗いは夫、洗濯は妻、といった形で、回数や時間をそろえていきます。

一方で、同じ家事でも、やる人の「そのときの余裕」によって、重さはまったく変わります。たとえば、同じ「夕食後の片づけ」でも、次のような違いがあります。

  • 仕事が早く終わって、少し気持ちに余白がある日の片づけ
  • 会議が続いて、帰った時点でもう余力がない日の片づけ
  • 子どもの寝かしつけがうまくいかず、へとへとになった日の片づけ
同じ片づけでも、その日の状況によって負担感が変わることを示した図

作業としては同じでも、感じる負担は同じではありません。量をそろえても楽にならないのは、「量の公平」を整えたあとにも、「余裕の差」が残っているからかもしれません。

余裕を左右する4つの要素

余裕は、その日の仕事量や睡眠、体調、育児の負担などにも左右されます。ここでは、多くの家庭で影響が出やすい4つの要素を見ていきます。

その日の仕事量、睡眠、体調、育児の負担が余裕に影響することをまとめた図

その日の仕事量

締め切りや会議、突発的な対応が重なる日は、家に帰る時点で頭も体も使い切っていることがあります。仕事の忙しさは、夫婦で同じ日に同じようにやってくるとは限りません。

睡眠

夜泣きや寝かしつけ、寝不足が続いているときは、普段なら難なくこなせることでも負担に感じやすくなる、という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

体調

体がだるい、頭が重い、といった日は、いつもの家事のペースを保つこと自体が大きな努力になります。表に出にくいので、相手には伝わりにくい部分でもあります。

育児の負担

子どもの年齢や、そのときの様子によって、育児の負担の重さも日々変わります。体調を崩したときや、環境が変わったときなどは、とくに「家事に回せる余裕」が小さくなりやすい時期です。

※この記事は、体調や気分の不調を診断・判断するものではありません。つらさが続く場合は、医療機関や専門家へのご相談もご検討ください。

公的調査で見る、家事・育児の「量」の偏り

ここまで「量だけでは説明できない」とお伝えしましたが、量の偏りがないわけではありません。参考として、公的な調査の数字を見てみます。

総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」では、6歳未満の子どもを持つ夫婦について、週全体の1日あたり平均の家事・育児時間が公表されています。

家事 育児
夫 37分 1時間6分
妻 3時間22分 3時間37分

出典:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 詳細行動分類による生活時間に関する結果」(令和4年12月14日公表)表2-2「6歳未満の子供を持つ夫・妻の無償労働時間」(夫婦と子供の世帯、週全体、1日あたり) https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/gaiyoub.pdf

なお、この数字は共働きかどうかを区別していない全体の平均です。「自分の家庭がこうだ」と決めつけるための数字ではなく、家庭によっては時間の偏りが大きい場合もある、という参考として見てください。

また、時間が同じなら負担も同じ、というわけでもありません。時間の量にくわえて、そのときの「余裕」を見ておくことが、分担を考えるうえでの大事な視点になります。

量をそろえても楽にならないときに、見直したい3つの視点

視点1:同じ日の「余裕」を、言葉にしてみる

「今日は何をやったか」の前に、「今日はどれくらい余裕があったか」を、ふたりで簡単に伝え合ってみてください。「今日は7割くらい使い切った」「今日は半分くらい残っている」といった言い方でも十分です。やったことの報告より、責められている感じが生まれにくくなります。

視点2:負担が重い時期を、あらかじめ共有しておく

繁忙期、子どもの環境の変化、体調を崩しやすい季節など、負担が重くなる時期は家庭ごとにあります。その時期に入る前に、「このあたりは余裕が少なくなりそう」と伝えておくだけで、見え方が変わることがあります。

視点3:固定の分担ではなく、「この1週間をどう回すか」を話してみる

「ずっとこの分担で」と決めるほど、状況が変わったときに無理が出やすくなります。「今週はこうしよう」と、短い期間で見直すくらいの感覚のほうが、続きやすい場合もあります。

話し合いで、責め合いにならないために

余裕の話は、伝え方によっては「自分のほうが大変」の主張合戦になってしまうこともあります。次のような聞き方を意識すると、話しやすくなります。

  • 「どっちが多いか」ではなく、「今日はどれくらい余裕があった?」と聞く
  • 相手の余裕が少ないときは、解決策を急がず、まず状況を聞く
  • 余裕が少ない日は「してほしいこと」より「いまの状態」から伝える

見える化するのは、家事だけではなく、ふたりの状態や余白

家事分担の「量」を見える化するアプリや仕組みは、これまでにも多くあります。それに加えて、ふたりの日々の状態や余白も見える形にして、家庭の回し方を話し合いやすくするという考え方もあります。

WorkTune家族版は、まさにこの考え方にもとづくサービスです。家事の量だけでなく、夫婦それぞれの日々の状態を見える形にして、家庭の回し方を話し合いやすくすることを目的にしています。分担を自動で決めたり、どちらが正しいかを判定したりするものではありません。

分担を決めても楽にならないときは、「もっと分担を増やす」前に、「ふたりの余裕がいまどうなっているか」を見てみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • 分担しても楽にならないのは、努力不足でも相手のせいでもない
  • 量の公平に加えて、「そのときの余裕」の差が負担感を左右することがある
  • 余裕は、仕事量・睡眠・体調・育児の負担などで日々変わる
  • 見直すときは、「今日の余裕」「重い時期」「この1週間」の3つの視点から
  • 見える化するのは、家事だけではなく、ふたりの状態や余白

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