作業療法と人的資本経営

作業療法士による、経営リハビリテーションの意義

今月より週一回の投稿を目指しています。まずはじめに、2月6日に起きましたトルコ・シリア地震によりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。一日も早い復興を願っております。

今日は東京でも雪が降っています。今朝息子を幼稚園に送る際は、慣れない雪に息子がはしゃいでおりました。

● 作業療法を知っていますか?

 多くの皆様は「作業療法」ということばを聞いたことがない方が多いのではないでしょうか。どこかの先生が調査した結果では、医者や看護師はほぼほぼ100%聞いたことがあり作業療法士は30~40%の方した聞いたことがない。何をやっているか正確にわかっている方は10%程度。同じリハビリテーションの療法士仲間である「理学療法士」と混同されていることがほとんど。

むしろ同領域の医療・介護職の医師、看護師、理学療法士、介護士さんにも理解されていないことも多いくらいです。いや、最近は職業アイデンティティの危機もあり作業療法士が作業療法を分かっていないこともあります(笑)ほかの専門家含めてその中にはいろいろな方がいますのでそれも多少致し方ないのかもしれませんが、同じ職種としてそれは見過ごせないです。

 「自分が何者か」「かくあるべきか」はしっかりと自問して様々な知識、技術、知見、経験を積んでいただきたいと思います。僕たちも、その支援を今後させていただくこともあると思います。よろしくお願いいたします。

 

前置きが長くなりました。すみません。。。

● 作業療法とは

作業療法士は、18世紀ごろより精神疾患の方をはじめとする社会的マイノリティの方などに人道主義者が日々の活動や仕事などを用いた治療を行ったり、復帰支援を行ったことが原型となっている。(日本作業療法士協会五十年史より)

 現在、多くの作業療法士が病院や介護施設等で理学療法士と共に身体的リハビリテーションを行っていることは戦後の傷病者リハビリがニーズとして社会的に高かったためであり、ほんの作業療法の一部分でしかすぎません。

 作業療法の目的は、「自分の生活をどう生きたいか?」を支援することです。障がいの有無にかかわらず現状の自分をどの様に活かし、どの様に活動するか。その提案と支援を行います。提案と支援を行うために「ヒト」の評価分析を行います。

評価/分析より、「ヒト」の強みを課題を抽出します。「どう生きたいか?」は目的です。目的に向かった目標を決めます。行動計画を行います。

その結果、目的である「どう生きたいか?」が達成できます。目的は自分で決めたものです。主体的に自分が考えたものです。主体的に考えたものには「価値」があります。サポートがあったとしてもゴールしたのも自分です。

その一つ一つ、自分が目的に到達するプロセスと結果に達成感」「満足感」「有能感があり、やっている自分、できている自分にアイデンティティ(同一性)を持てるようになると、仕事、生活、コミュニティなどに適応していきます。運動が好きな方は「ZONE」の様なものと思っていただいてもいいと思います。ただ、「ZONE」ほど無双状態などではなく、いいも悪いもひっくるめて結果的に「良い状態」です。

● 人的資本経営に作業療法の何が活きるのか?

 今まで僕は「人」ではなく「ヒト」と表記させていただいてきました。法人は大きな意味で「ヒト」です。「人」の集合体です。「人」の集合体を評価分析し介入することは作業療法士の得意分野です。個々の評価から個々の関わり方、全体でどの様な集合体になっているかを評価してきました。

 これは「ヒト」である組織、企業も同様です。

 また、逆に表現すると、組織/企業が一人の「ヒト」としてそこに関わる全ての「人」を細胞ととることもできます。「ヒト」は社会の中で環境の中でどの様に過ごすのでしょうか?どの様な目的をもって主体的に行動するのでしょうか。

 体の細胞に目を向けながら目的を持ち行動化することが「人的資本経営」に結びつくことができます。僕たち作業療法士は「人」に同じアプローチをしてきました。そのプロセスは同じです。視点も酷似しております。

 「ヒト」の価値ある生活を支える、ウェルビーイングな生活にすることが作業療法士です。

 また、「リハビリテーション」とは「全人的復権」です。「ヒト」としての「価値」を獲得または再獲得することです。

 持続可能な経営ができるようにすることは「予防」とも共通しているこ考えています。

 これからは僕たち作業療法の力である、10の技術と10の視点(概念)を社会に、企業経営伴走に役立てていきたいと思っております。

  「わっかんないなあ」という方もいらっしゃると思います。「で、なに??」をご感想をお持ちの方もいらっしゃると思います。ぜひぜひ飲みながらでも1on1でお話できたらうれしいです。当社近くに作業療法士のくせににごり酒を造っている変わり者もいるので、一緒に飲みながら語り合いましょう。そんなご連絡もお待ちしております。

  次回はまた人的資本経営のお話に戻ります。各社さんが公表されている取り組みを作業療法で解釈しながらお伝えしたいと思います。